「日本の良さは日本人には解らない・・・。」

ある世界的に有名な日本人アーティストが口にした言葉です。
第二次世界大戦で日本が欧米諸国に敗戦して以来、
良くも悪くも欧米の文化やイデオロギーが一気に日本に押し寄せました。
敗戦からの復興の陰で日本人が一番大切にしなければならない“なにか”を失ったのです。
近代では急速する情報化社会、コンビニエンスストアやファーストフードの急増による
大量消費社会が生まれ“もの”を大切にしない使い捨ての文化に変貌していきました。
欧米化の波に翻弄され続けた日本人はもはや自国のことに興味を持つことができなくなり
果てはアイデンティティーさえ放棄しようとしています。

それは悲劇のなにものでもありません。

しかし、今こそ失った大切な“なにか”を取り戻す旅に挑まなければなりません。

ものを大切にする文化、季節を愛で自然を愛でる心、
非常に微妙な心境や事象を事細かに言葉で表現できる言語、
神仏の概念、人を敬い思いやる心、忍耐、潔さ、おもてなしの心、伝統と創造・・・。

日本という場所は本当に素晴らしいところです。

私は日本人としてこの日本の地に生まれてきて本当に良かったとつくづく思います。
日本の風土・四季そしてその中で培われてきた文化・言葉・・・。
私の中には日本のDNAがしっかりと刻まれているように感じます。

決して派手ではない、奇抜でもない、色彩が豊かでもない・・・。
しかしその中にあって潔く凛とした佇まいで存在感があり、空気感のあるもの

本来日本人が美徳とする中に“潔さ”と“簡素”という言葉は切っても切り離せないほど重要な要素でした。
私のものづくりの中でも“潔さ”と“簡素”とういうこの二つの言葉は非常に重要な要素になっています。

空気のようなもの・・・　なくてはならないもの・・・　

“がらす”という素材を通して現代を生きる私の感覚で創りだされる“もの”をこの社会にそして世界に発信していきます。